Kさんが言うどん底時代

"先輩Kさんのワンルームの部屋に遊びに行った時のこと。
なんせ、男住まいなので、清潔とはいえない。台所にはよくわからないてんとう虫が飛び跳ねていて、異臭がしており、テレビはつかず、ベットの布団は破け、凄まじい状況である。「どうしたんすか、Kさん」と聞くも、Kさんは無言で、納豆を食べていた。納豆のみである。
後々聞くと、Kさん仕事を失ってしまい、家賃も八ヶ月滞納し、追い出されるかの瀬戸際だったらしいのだ。実家には戻れないが、友人が来て、説得すると、頭に来て追い返すような状況だったらしい。
最初は知り合いの伝で、植木職人の見習いをしていたのだが、なんらかの理由で、知人からもらった軽ワゴンも売り、多額の借金・・・。
桁が違うのだけど、Kさんはその後が凄かった。先ず、アパート先に迷惑をかけた人、一人一人に謝りに行き、大家さんには、とにかく頭を下げながら、町中のバイト先を回った。
結果、Kさんは、ずっと昔勤めていたガス会社に戻れたのだった。新しいアパートは専務が保証人になってくれたのだそうで、Kさんは新しい人生を送っている。
Kさんは笑顔で述懐していた。「俺はこれからがスタートだと思っている。俺はあの時からいつ死んでも怖くない。これからは親孝行をする」
男気のある人は強くなるなと、そう思っている。"

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